暗いところで待ち合わせ
サブカル道を行く上で避けては通れない乙一!
大好きです。
ほとんど読んでます。
久々に読んでもやっぱり良かった!
あの頃の、甘酸っぱいとも違う、なんとも言えないふわふわ感、心臓がくうううっと動く感覚……。
ざっとしたあらすじは、ある殺人容疑をかけられた大石アキヒロが、視覚障害をもつミチルという女性宅に潜み隠れるという話。
アキヒロには、どうしてもその場所で見張っていなくてはならない「ある理由」があり、罪悪感を持ちつつ、ミチルとの不思議な共同生活が始まります。
このアキヒロさん、悪い人ではないんですよね。容疑者ですけど、障害をもつミチルのことを気に掛けちゃう部分がある。
棚の高いところから物を取ろうとして、バランス崩して倒れかかるミチルを支えてあげたり。
手が滑って割ってしまったコップの破片を、こっそり捨てておいてあげたり。
ストーブの火を強めたまま寝ちゃったミチルのために、そっと火力を弱めてあげたり!
この場面、作品の中で一番好きな場面なんですけど、何故か映画版ではカットされてるって聞いて未だに見るに至ってないくらい好き過ぎる場面です。ほんとすき。
学生の頃に乙一の作品に出会い、大袈裟ではなく読書の楽しみに目覚めました。
そんなサブカル仲間は、それはそれはたくさんいるはずです。
最近は作品の趣向が以前とは少し違いますけど、変わらずだいすき!
アダム・ブラウン「えんぴつの約束」
超一流コンサルタントのアダムが、貧困地域でまともに教育を受けられずにいる子どもたちのため、一念発起職を辞し、「ペンシルズオブプロミス」という団体を立ち上げ、世界に学校を建てる活動をはじめるノンフィクション。
誰もが「無理だ!」「できっこない」と一蹴する夢でも、それを捨てるな。
自分自身と、夢と、助けてくれる貴重な仲間をひたすらに信じて、前へ進み続けよう! という強いメッセージが、最初から最後までギュッと1冊に詰まってます。
訳書なので、慣れてないと少々読みにくいです。日本とは文化が違うので、端々にスッと飲み込みにくい単語が混ざってたり。
それでも、高収入で地位も約束された大手企業の職を捨ててまで、ゼロから慈善団体を設立して寄付を募り、子どもたちのために学校を建て、その未来を見越して維持と継続を約束する……。
そんなアダムの意思の強さ、子どもたちを思う心、仲間をひときわ大切に思う気持ちに感じ入る部分が多いです。
貧しいというだけで教育の機会を得られない子どもたちの不遇にいてもたってもいられず、それまでの安定した立場を捨ててまで具体的な行動に踏み出せる勇気……。
凄いとしか言えないですねえ、語彙が弱いですが……。
アダムが「ペンシルズオブプロミス」を立ち上げようと決意するに至った経緯の中に、
セメスターアット・シー(船で特定の各国をまわる旅)に参加し、その航海途中に嵐に遭って死を覚悟する場面があります。
死んでしまってもおかしくない状況から既のところで助かった自分の命。
これからの将来、何が出来るのか、人の為に何をしていけるのかを、深く考えるきっかけにつながりました。
そこで出会った貧困地域の子どもたち。
電気や水道は贅沢品。
屋根や壁なんかない、小屋とも呼べない、ただの木の下で集まって字を学ぼうとする子どもたち。
風が強かったり雨が降ったりすればお休みになるという「学校」。
アダムは、その現実を見て「これだ」と、瞬時に熱くなります。
かつて、自分たちに十分すぎる教育を、余るほどの食事を、と奮闘してくれた祖母を思いつつ、恩を返せるとしたらこれしかない、という思いも芽生えました。
こういう非営利団体の慈善活動につきまとってくるのは、好奇や疑いの目だと思います。
寄付したお金がきちんと活用されているのか、コンセプトは立派だけど、そもそも具体的にはどんな活動をしているのか。気になる面が多すぎる。
ひたすらに費用の透明化、いつでもどこでも活動の詳細を見通せるように工夫を徹底し続けたのが、この団体が周りから信用を得られた理由だと思います。
もちろんアダムの実直な人柄も含め。
夢は自由に持つべきだということ。
夢を叶えられない理由に、仕事や家族や時間のなさを挙げるべきではないというストレートなメッセージを届けてくれる1冊です!
ちなみに、こちらの書籍は
藤原和博さんの著書「本を読む人だけが手にするもの」において推奨されていたものです。
他にも、読んでおくべきとされる珠玉の1冊が紹介されています。おすすめです。
仏教について、つづけて2冊
池上彰さんの「仏教って何ですか?」
笑い飯哲夫さんの「仏教のはなし」
仕事柄、宗教に触れる場面が多く、自然と「宗教そのもの」について考えることが多いです。
日本は仏教国って言われてますから、葬儀式も仏教で行う方が圧倒的におおい。
仏教ってそもそもなに? 日本で仏教が受け入れられて浸透していった時代的背景とは?
そのあたりを知りたくて、立て続けに仏教の本を読んでみました。
余談ですが、
葬儀の仕事そのものは、専門知識や資格がなくても出来ます。会社にもよるでしょうが、入社してから実地で覚えていくことがほとんどです。
そもそも葬儀の専門資格(厚生労働省認定の葬祭ディレクター資格というものがあります)は、実務経験が2年以上ないと受験資格さえ得られません。
なので、私も入社前は一切、葬儀に関する知識なんてありませんでした!
そんなズタズタな状態だったので、入社後1年くらいは基礎知識を覚えるだけで必死。
もしあの頃に、この2冊に出会っていたら、もっとすんなり現場に慣れていけただろうなー。
池上彰さんは、月並みですが、やっぱり流石です。語り口がやわらかく、読みやすい。
仏教って、明らかにほかの宗教とは違う点があって、それは「人種や性別、国籍を問わずに、すべてのひとに門戸の開かれた宗教である」ということ。
きっかけなんて無くていいんですよね。
髪剃って出家しないと悟れないわけではないし、日々辛い修行に耐えないと浄土に行けないこともない。
身近なひとへの少しの親切、だけでいい。
小さなことにも幸せを探すアンテナを張ってみる、くらいの気持ちで1日を過ごす。
それくらいの心持ちが「中道」、ちょうどいい塩梅なんだなーと、思えます。
あわせて笑い飯哲夫さんの本を並行して読んだんですが、特に、ブッダが産まれた頃から悟りを得るまで、そしてその教えが日本に伝わり広まるまでの流れをより深く知ることができました。
持ち前の関西弁(京都弁?)で、想像しやすい例えをたくさん出して、ブッダの教えというもの、仏教そのものについて喋りかけてくれている文体なので、とっつきやすい。
普段、宗教や仏教と触れる機会がない方は、こちらの本が読みやすいかも。
日本は仏教国、って言われてますけど
葬儀や法事の時くらいしか意識しないくらい、宗教そのものは形骸化してしまっています。
オウム真理教をはじめ、新興カルト集団が一種の流行り?をみせた過去があるのも、既存宗教の力が衰えたせいとの見方もあり……
ここで今一度、宗教、仏教そのものについて見直そうという動きがここ数年で活発になってきています。
寺の住職さんが書かれた本なんかも最近よく見かけるようになってきました。
普段の読書の合間に、仏教の本を挟んでみるのも、よいと思います。
蒼井ブルー
蒼井ブルーさんの「僕の隣で勝手に幸せになってください」と、新刊「NAKUNA」。
フォトエッセイと言えるほど写真は多くなく、ツイートやエッセイ部分が多めです。
他愛ない出来事を、蒼井さんの視点と感覚で切り取って、140字におさめたツイートは、ひとつひとつがホッとするほどあたたかくて、くすりと笑えて、少しだけ切なくて。
ちょっと今日は運が悪いな……とか、苦手な人に会って嫌なこと言われちゃったな……とか、調子が悪いとき、とか。
学校や会社で起こるさまざまなすれ違い、ほんのちょっとのボタンの掛け違い。
もやっとするものを持って帰ってきてしまっても、一息ついてこの本を開けば、深呼吸できる。
自分の軸に戻ってこられる。
これからも、人と人の間を生きていかなきゃいけないので、手放せない、手元にずうっと置いておきたい2冊になりました。
ファンタジーやSFとは違うけど、ちょっとだけ、いつもと違う世界に行きたい。
そんな時におすすめです。
働く男
星野源さんのエッセイ「働く男」
俳優、音楽家、文筆家と、さまざまな顔をもつ星野源さん。
二度の活動休止、療養期間があった彼自身の、仕事に対する考え方、いろんな側面から見た星野源の仕事についてなどなど、事細かに書かれた1冊です。
これまでに、どんな音楽を作って、どんなコラムやエッセイを書いて、どんな映画や舞台に出て、自分を表現してきたのか。自身の活動を自身の手で振り返っています。
追って読んでいくと、星野さんって働くことが好きなんだっていうより、やりたいこと、好きなことが人生において多すぎて、それぞれ追求しているうちに仕事になっちゃってたよ、っていうタイプの人みたい。
自分が主題歌を担当した映画についてのコラムを雑誌に書く、なんて、まさに音楽もやって演技もやって文章も書いて、っていう方じゃないと実現し得ない仕事ですよね……! ただ単にうらやましい。やってみたい。
この、映画「キツツキと雨」についてのコラムがまた良くて、今更ながら見たくなってしまうくらいそそられます。
又吉も大好きで、火花はもちろんそれ以前の著作も読んでるんですが(機会作って書評をあげたい)、数ページの対談ですけど共感部分が多すぎて、これがあるだけでこの本売れない! って歯噛みするくらい、良い。
いちばん唸ったのは、お2人の人見知りに対する見解。
「人見知りっていうのは元来ある性格ではなく、その場の環境や、一緒にいる人によって変わるただの「症状」だ」、っていうのは、自称人見知りとして胸を抉られる一文でした。
人と会って話をする機会をとことん避けてきた人生に危機感を覚え、対人力を鍛えるためにわざと多く人と会ったり、約束を取り付けてご飯食べたりお酒飲んだり、長電話したり。
そうしてるうちに四六時中人といることが苦ではなくなってきて、今じゃ反対に、前みたいな孤独にいったん戻らないと人としてダメになるんじゃないかって、思うようになってきたとか。
わたしも普段から似たようなことを考えていままでの人生やってきたので、あー、同じことで悩みながらも何とかやってる人って意外に多いんだろうなーって思うと、とっても楽になりました。
自分にとっての「働く」ってなんだろう?
性別問わず年齢問わず、原点に立ち返るきっかけになる本です。
羊と鋼の森
宮下奈都さんの「羊と鋼の森」!
本屋大賞受賞おめでとうございます。
スコーレNo.4で初めて宮下さんを知りました。受賞を知ってから慌てて読んだというミーハー心……。
主人公・外村くんが、17歳のある日、高校の体育館にあったピアノを調律しにやってきた板鳥さんと出会う場面から動いていく物語。
ピアノそのもの、そして調律というものに目覚め、高校卒業後に調律の専門学校へ2年間通い、板鳥さんのいる江藤楽器へと就職します。
憧れ尊敬する板鳥さん、頼れる先輩・柳さん、ちょっとシニカルな秋野さん、事務の北川さん、そして、それぞれ個性的なピアノを弾くふたごの和音と由仁。
それまで送っていた山での朴訥とした生活から少し離れ、様々な人間模様や調律の奥深い世界へとまさに迷い込むように翻弄されていく外村くんの、調律師としての成長物語です。
一言ずつ紡がれる言葉がとっっても綺麗で、拾って読んでいくこと自体に「嬉しい」と素直に感じていました。
読書そのものの楽しみ、言葉の味を全身で味わえたというか。とつんとその世界観に入り込んでいけました。
読んでいる最中の、本の中の世界観がそのまま、現実のものごとに対する見方に如実に影響が出るタイプなのですが、この作品は特にその感覚が強かった。
ピアノの「調律師」っていう職業自体はとてもマイナーかもしれないけど、
ピアノを弾く奏者さんにとっては必要不可欠な存在ですよね。
二者はまさに持ちつ持たれつ。
魅力的で深い"森"に出会い、その道を不器用ながら淡々と極めていこうとする外村くんの姿勢には、羨ましいような、見習いたくなるような、気概を感じます。
山での生活は、外村くんにとっては、慣れ親しんだ心落ち着くものだったかもしれないけど、常に近くにいた弟と比べられながら育った土地を、早く離れて何かを"試したい"気持ちも、もしかしたら燻ってたかもしれない。
そんな時に板鳥さんに出会って、ピアノと、調律というものに出会ったことが、外村くんにとっての1度目の転換だったとしたら、
2度目の転換は、ふたごの弾くピアノに出会ったこと。
もっと調律の技術を高めたい気持ちと、磨いた技術をふたごの弾くピアノのために使いたいという夢が同時進行するようになります。
本屋大賞受賞も納得だと、(どこから目線かわかりませんが)、素直に思える1冊でした!
これから受験や就職を控える10代20代、本当にやりたいことを仕事にできていない職業人が読むと、訴えてくるなにかを感じられると思います。
朝の習慣
佐藤伝さんの「朝の習慣」
今すぐに、たった1分で出来る小さな小さな習慣を、49個集めた本です。
どれもシンプルですが、表紙に書いてある通り「みるみる幸せを叶え」てくれそうな、朝のすっきりした気分にぴったりな習慣ばかり!
私が特に気に入って続けているのは
朝起きたらまず、「何となくいい気分!」と呟く
白湯を飲む
空を見る
プチ滝行
「今、ここ、私」と3回呟く
などでしょうか。
白湯は特に、起きたばかりの内蔵を温めて動きを活発化させるのにとっっても一役買ってます!
お通じで困ることが一切なくなりました。
薬なしで済むなら、それに越したことはないですよね~~。
お金に好かれる習慣、とか
ビジネスのための習慣、とか
幸福のための習慣、とか
細かくカテゴリー別で紹介されているので、目的に合わせて集中してやってみるのも良さそう。
お金に好かれる習慣なんて、
一万円札をじっっくり眺める
貯金用通帳の残高をにやにやしながら見つめる
なんていう感じですから!
朝からすっきりできそうです。