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おひとりさま

毎日読んだ本の感想を書いています。いつかお一人様専用のカフェを作りたいという夢があるので店名の候補をタイトルにしました。

「手紙屋~蛍雪編~」

書評
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喜多川泰さんの「手紙屋~蛍雪編~」
前作「手紙屋」の続編です。

前作は、就職活動中の大学生の男の子が主人公でしたが、今作は、大学受験を控えた高校生の女の子が主人公。
今後の自分の進路について悩む、ごく普通の女の子です。

前作「手紙屋」がものすっっっごく好きで、読んだ当時わたしは社会人になって1~2年目くらいだったんですが、就活中のあれやこれや(履歴書やエントリーシートを次から次へと書かなきゃならない億劫さだったり、友達との駆け引きとか、就職課の先生のあからさまに面倒くさそうな顔とか)が、読んでいる間まざまざと思い出されて、「あー、これを読んでからだったら、就活も楽しんでやれたかもなー」と一種の羨ましさを感じつつ、大変感銘を受けました。

このイメージが根強くあったので、あんまり期待しすぎたらダメ……!  って思いながらも、大いに期待して読みました。
読後感は、やっぱり羨ましさと、後悔です。
「受験生の時に出会ってたらあああ!」という心からの叫び。高校受験や大学受験を控える子達には軒並みおすすめしたい。

この物語は、主人公の女子高生「和花」と、「手紙屋」との手紙のやりとりで主に構成されています。
手紙屋とは、悩みを解決するヒントや考え方を、十通の手紙を通して伝えることによって生計を立てている人。お礼は、「役に立った!」と思った分だけ、見合う分だけを自由に返してくれればそれで良し。相場とか期限とかも、ありません。

もう、この設定だけでわくわくします!
実際にいてくれたら速攻で手紙を送るだろうな……。十通のやりとりが終わっても、名前や住所を変えてまたまた送ってしまうかも。
それくらい、この手紙屋の教えてくれるメッセージは、深くてためになるんです。
実生活でも自然と応用できてしまうような、心にストンと違和感なく落ちてくる考え方と、ものや出来事に対しての見方。

「将来何をしたいかわからない、けど、とりあえず大学に行っといた方が選択肢広がる気がするし、受験するだけしといた方がいいかも。でも勉強めんどい」っていう悩みは、おそらく受験生のうち8割くらいはもってる悩みだと思うんです。

自分が、将来何をしたいか。
自分が、将来どんな職に就きたいか。
誰もが一度は悩み狂う問題です。
これに対して手紙屋は、「勉強ってそもそも、なんだ?」「職業は、やりたいことでも、夢でもない」っていうところから、主人公の和花ちゃんが考えもしなかった視点から、見つめ直すきっかけを与えてくれます。

よく、好きなことや趣味を仕事にするなって言われますよねー。
仕事にした途端楽しくなくなるから、嫌になっちゃうから、って。
趣味は趣味として本業とはわけて楽しみなさい、と。
でもそれと同じくらい、好きなことじゃないと続かない、真剣になれない、目指すところまで行けない、っていう考えもある。
一体どっち?!  ってなっちゃって、受験生たちは身動き取れなくなって、でもどんどん現実的なタイムリミットは迫ってくるから、自分はともかく周り(親や先生)は安心してくれる安牌な選択肢に逃げちゃう。
なんか納得できないけど、とりあえずこれでいいかーって。
夢をみられなくなっちゃう。

まさに私自身もそうで、今この現状があって。
でも、主人公の和花ちゃんは、そうなる手前で一歩踏み止まって考えます。「手紙屋」のくれる助言やヒントが、大切すぎる気づきをくれたから。

前作「手紙屋」と、この「手紙屋~蛍雪編~」を読んで、わたしはアラサー近くにもなって自分の叶えたいと思える夢がザクザク出てきました。
お一人様限定のブックカフェを開きたい(まさに、「書楽」みたいな!)、本を書いてみたい、あわよくば出版したい、ラジオパーソナリティをやってみたい…………
この書評ブログを始めたのも、私にとっては夢を叶える第一歩です!

若い子達にこそ読んでほしい。
最近の子には夢がない……なんて言われてますが、そうじゃない。考えるきっかけがないだけなんじゃない?!  と思います。
言葉は使い古されて幼稚かもしれないけど、やっぱり、夢っていい。
持つだけ自由だし。

そんなことに気づかせてくれる本です。