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おひとりさま

毎日読んだ本の感想を書いています。いつかお一人様専用のカフェを作りたいという夢があるので店名の候補をタイトルにしました。

「ガソリン生活」

書評
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伊坂幸太郎さんの「ガソリン生活」!
文庫化されているのをたまたま書店で見て購入。伊坂幸太郎さん大好きで、「チルドレン」とか「死神の精度」とか「陽気なギャングシリーズ」とか、狂ったように読んでた時期、ありました。

伊坂さんの作風として、私は上記のような、エンタメ感強めのものが好きなんですが
この「ガソリン生活」も期待に違わぬストーリーで、読んでいて心がほーっこりしました。

物語は終始、登場人物である「望月家」の愛車、緑色のデミオ(通称「緑デミ」)から見た、一人称視点で語られていきます。
車が意思や感情を持っていてお喋りする世界!
物には感情がある、だから大切に扱いましょうね~~っていう話は、小学校時代にさんざん教えられてきましたが、
この「ガソリン生活」を読めば、自然と物に対して丁寧になってしまう自分に気づく、はず。
いや、主に車に……?  かな。

緑デミ視点で話が進むので、当然、彼(車に性別はないみたいだけど)が見たり聞いたりできる範囲のことしか語られないんだけど
車同士の情報網を侮ってはいけないんですね!
駐車場や路上に停められ、話の流れを担う登場人物たちが遠くに行ってしまっても、周りにいる車たちが情報をくれる。

人が語る話と、車が語る話。
人は知ってるのに車は知らないとか、車は知ってるのに人は知らないとか。
そこらへんの塩梅がなんとも絶妙で、読んでいて知らず知らずワクワクしてきます。

車たちの感情表現の記述も、まあなんとも、コミカルで面白いんです。
人が、ハッと驚いたときに、思わず口に手を当ててしまうように、車は「思わずボンネットが開くようだ」とか……興奮すると、「思わずワイパーが激しく左右に動くようだ」とか……(もちろん車なので、そんな気がしちゃうってだけ)

物語は、ごく普通の母子家庭である「望月家」が、名家出身で有名女優の荒木翠を、ひょんなことから緑デミに乗せることになる場面から動いていきます。
物騒な殺人事件や強盗事件、望月家の次男である10歳小学生の亨くんを中心としたイジめ問題だったり、絡んでくる題材は割と重めですが、それを感じさせないくらいの軽快な語り口。
車視点から眺める人間世界ってこうなのね、と思わせる。

かと言ってドライな風ではなくて、作中で緑デミも言ってるように
「自家用車はどうしても、持ち主を贔屓目に見てしまう」習性が、どうもあるようなので
望月家と共に困難に立ち向かう!  うちの家族は並大抵のことでは、へこたれない!  という忠誠心というか、仲間意識みたいなものも、ちゃんと感じられます。

最後の数十ページは止められなくて、そのあたたかい展開、結末に、「あ~~、これ、読んで正解だった~~!」って本を撫でたくなります。(ものを大切に扱おう精神が早くも発揮されます)

普段、車を運転する機会が多い方、車が好きな方にはとてもおすすめ!!

わたしは白のタントに普段乗っていますが、やつとは一年近い付き合いになります。
駐車する時とか、思ってるんだろうな……「もう少し白線のこと気にして!!!」とか、思ってるんだろうな……