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おひとりさま

毎日読んだ本の感想を書いています。いつかお一人様専用のカフェを作りたいという夢があるので店名の候補をタイトルにしました。

お家賃ですけど

書評
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能町みね子さんのエッセイ「お家賃ですけど」。

能町さんのエッセイ大好きで、ほぼ読ませていただいてます。
面白いんです……。
この「お家賃ですけど」は、能町さんがかつて暮らしていた「加寿子荘」という築40年はくだらない木造アパートでの生活を記したエッセイ集。

表紙や冒頭の写真から、もう伝わってきます。じわじわと。古く懐かしい良き味を漂わせる昭和の木造建築。
実際の鍵や呼び出しブザーの写真なんかもあるのですが、震えます。
わたしは元々古いものが好きとかそういった趣味まったくなかったのですが、能町さんのこの本を読んで以来「元気な昭和」を感じさせるものに触れたい欲みたいなもの、出てくるようになっちゃいました。


全体として、小説風に当時の暮らしぶりが綴られています。
その語り口がなんとも素朴でほっこりします。
大家の加寿子さんが、またいいんですよねえ。朴訥として、おばあちゃんらしいおばあちゃん。日々の暮らしをきちんと整えた、可愛らしく笑う加寿子さんの様子に、読みながらその様が想像されて口元がゆるみます。

田舎の祖父祖母の自宅を思い出します。
階段はみしみし鳴るし、トイレは水洗じゃないし、お風呂はようやっと最近五右衛門から給湯器で沸かすものに作り替えましたが、正面玄関の鍵はあってないようなもの。
裏口なんて入り放題です。
田舎ってそんなもんですよねえ。
そもそもわたしは高校生くらいまで裏口を正面玄関だと思って出入りしていたくらい。


読んでいるとトリップします。
まさに、古き良きあの時代、というやつ。
実際に生きてはいなかった時代のことだし、そもそも語られているのは正真正銘、現存する木造アパートの暮らしなんですけど。

ああ住んでみたい。加寿子荘。