よるのばけもの、を読んだ感想
「よるのばけもの」住野よる著
新年1発目!
2017年もよろしくお願いします。今年もマイペースにいろんな本を読んでいきたいと思います。
2016年から2017年にまたいで読了した住野よるさんの「よるのばけもの」。
大好きな作家さんの本で新年を迎えられてしあわせだなあ、と心から思いました。
住野さんの作品が大好きで大好きで既刊全部単行本で買って読了してます。「君の膵臓をたべたい」と「また、同じ夢を見ていた」。とくに同じ夢の空気感がたまらなくて、幸せのかたちっていうのは人と同じ数あるものだっていうことを肌感覚で教えてもらった。何度も読み返して近くに置いておきたいと思えるくらい大切な本です。
この「よるのばけもの」も、いつまでも手元で大切にしたいと思える物語でした。
男子中学生である主人公は、夜になると化物になってしまう体質。睡眠を必要としない彼は、体が化物になってしまうのと同時に夜の町に出ていろんなところを渡り歩く。
砂浜で海を眺めて過ごすのがお気に入りになりつつあったある日、課題を教室に忘れてきたことに気づいて初めて夜の学校へ忍び込んだ。
そこで出会ったのは、普段教室で完全に浮いている、同じクラスの女生徒。
彼女はなぜこんなところに?
不思議なイントネーションで話す彼女はにんまりと笑いながら、「夜休み、なの」という。
ざっくりとしたあらすじはこんな感じ。
教室内の空気感って独特なものだと思っていて
特に中学や高校の教室って思い出すだけで胃が縮こまってくるような
居場所がないような、いつも誰かがこっちの様子を伺ってるような
必要以上に自意識過剰にさせられる空間っていうイメージが未だにあります。
わかりやすいイジメじゃなくても
いじられ役というか、ちょっと変わってる人ポジションというか、そういうのは絶対にあるし
絶妙なバランスで保たれていた大事なものがひょんなきっかけで向こう側に倒れちゃって戻せなくなる、そんなことも簡単に起こり得る空間。
住野さん自身が現役の中学生じゃないと納得いかないくらい
細かい部分が精密に病者されていてこわいくらいでした。
「自分」がいて
「クラスでちょっと浮いてる人」がいて
仮に周りに誰もいない状態で一体一で向かい合ったら、きちんと一人の人間としてお互いを認識できるのに
そこに「第三者」っていう世間の目が現れると途端に時分の立ち位置を考える。思考がそういう方向にシフトしていく。
ここで彼や彼女を肯定する発言や態度をしてはいけない、とか
わたしは大多数側ですよ、とアピールしなきゃいけないとか
いろんなことを考える。
人対人のコミュニケーションに「第三者」は関係ないはずなのに!
改めて、そういう自分の中のエゴを見つめ直すきっかけを与えてもらった気がします。
少しネタバレですが、決してこの物語も気持ちのいい終わり方をするわけではないです。誰もが認めるハッピーエンドじゃない。でも、作中の「彼」や「彼女」にとっては少なくとも、1歩を踏み出した大切な記憶になるんだね、と思える。
あー。
それにしても住野さんの作品が好きすぎる!
今年も楽しみです。
たくさんたくさん、ジャンルを問わず様々な作品に触れて
自由に吸収していきたいな、と思います。