「陽だまりの彼女」
越谷オサムさん3冊目。
タイトルに既視感があったのはったんだけれど、有名な作品だからだろうなあと思って読み始めたらストーリーにも若干覚えがあり、「ん?」と思って調べてみたらあれですね、映画化してましたね! 松潤と上野樹里で。
映画好きの母が張り切って見に行っていたのを思い出しました。そこで盛大にネタバレされていたのも思い出しました。
未読の方のためにあえて結末については触れませんが、これ、まったく何も知らない状態で読んでいたらどのように感じていたかなあ、とちょっと悔しく感じています。
ラブラブで甘々で蟻くらいしか寄り付かないようなベタベタ恋愛小説かと思いきや、物語終盤まで明かされないヒロインの過去が要所要所でちらつくのはミステリーを彷彿とさせるし、言わずもがなあの結末はファンタジーです。SFと言ってもいいかも。
これまで「階段途中のビッグ・ノイズ」と「金曜のバカ」を読んできましたが、どの作品とも風合いが違って読み応えがあります。
今回は、個人的な事情で途中でネタがわかってしまうという悲劇がありましたが、さすが映画化されるだけあってストーリーに力があるなあと感じました。
最後、浩介はどうなってしまうのか。
この先の人生も続いていくのだと思うと、彼が背負わされた荷物は決して重いものではありません。
ひとりで抱え続けることを選ぶか、共に支える人を求めてしまうか。
この物語は、純粋なハッピーエンドではないかもしれませんね。