おひとりさま

毎日読んだ本の感想を書いています。

「豆の上で眠る」

 

豆の上で眠る (新潮文庫)

豆の上で眠る (新潮文庫)

 

 

 
このタイトル、「えんどうまめの上でねたおひめさま」という童話がモチーフになってます。もうそれだけでなんだか可愛らしいし、興味をそそられるな。湊かなえ好きなので文庫化を知ってそそくさと購入しました。
 
 
物語の概要
ある仲の良い姉妹のうち姉のほうが突如姿を消してしまう。神社で遊んだ帰り道の一瞬のことだった。やがて、しばらくして戻ってきた彼女のことを、両親含め周りの人間は安堵とともに迎え入れたが、妹の結衣子だけは違和感を拭いきれずにいる。あれからだいぶ時間が経った、いまも。
 
姉の万祐子が行方不明になった10年以上前の夏、8月5日の回想と現在を行き来しながら物語は進んでいきます。
小さい頃から万祐子ちゃんは控えめな性格で、字が綺麗でお菓子作りが得意、体の弱いところがある可愛らしい女の子だった。それに比べて妹の結衣子はおてんば、字も汚いし卵もまともに割れなくて、姉とは血が繋がっていないのでは、とちらちら悩む日々。
 
母親も、きっと私ではなく万祐子ちゃんの方がすき。
そんな中、自分が一緒に帰っていればもしかすると、万祐子ちゃんは無事だったかもしれない状況下で姉は失踪してしまう。罪悪感、恐怖と不安。母親への申し訳なさ、いたたまれなさ。
 
 
失踪当時、現在から数えて約10年前の夏の回想は緊迫感溢れ、誘拐事件を想定して警察の捜査が入るほどになっているが一転、語り部である妹・結衣子にとっての現在では姉の万祐子は無事に「かえって」きている。
読者であるこちら側は冒頭から振り回されます。いったい何があったんだ……?と続きが気になって繰る手が止まりません。
 
 
帰ってきた姉はほんとうに、あの「万祐子ちゃん」なのか。
まさに「豆の上に寝かせる」ようにしてカマをかけ、試すようなことばかり繰り返す結衣子。姉は本物なのか。疑う私が間違っているのか?
 
 
読後感
湊かなえの作品だ、って意識して読むと、ダークさは薄味です。今まで読んだ中から挙げると「夜行観覧車」あたりが雰囲気似てるかも。家族で問題抱えて奔走・迷走するあたりが。
 
そして読後感は決して良くない。
話の流れはミステリーに慣れてる人だったらよめる。最後に明かされる真実も「やっぱりそうだったか」とおもう。
これはミステリーよりも、家族の在り方や向き合い方を真っ向勝負で問われる作品だと言えるとおもうし、さらに因数分解していくと「ひとってなんだ」「偽物本物ってどういう概念だ」っていう、まるで哲学と取っ組みあってるような気持ちになってきます。
 
血の繋がりが最適解ではないんだよな。